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薬物中毒者の脳は家族に影響する?

2012年02月06日AFPのニュース記事によると、麻薬中毒者は、衝動の抑制に関与する脳部位の異常を遺伝的に受け継いでいるとする研究が、2日の米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。
 
英ケンブリッジ大(University of Cambridge)のKaren Ersche氏率いる研究チームは、麻薬中毒者とその兄弟姉妹、無関係のボランティアの脳を比較分析。その結果、麻薬中毒者の兄弟達の脳には、本人が麻薬中毒でないにもかかわらず、薬物中毒者の脳に見られる脆弱性の多くが確認された。
 
これは、脳の脆弱性が家系に由来することを示唆している。薬物中毒者の兄弟が中毒者にならなかった理由は、環境的な要因あるいは脳の他の部位の差異によると考えられる。Ersche氏は「恐らく、兄弟達には麻薬依存に対する家系的な脆弱性に適応したレジリエンス(弾力性、回復力)が備わっているはずだ」と説明した。 
 
研究チームは、一方が薬物中毒者でもう一方がそうでない50組の兄弟と、無関係の健康な50組の対照群について、ある行動から別の行動にどれほどの速さで切り替えることができるかを見る反応抑制(stop signal reaction time、SSRT)検査で、被験者らがどれだけ衝動を制御できるかを調べた。
 
 薬物中毒者はうまく衝動を抑えられないことが知られているが、研究の結果、薬物中毒ではないきょうだいも対照群と比較して明らかにSSRT検査の成績は悪かった。
 
 また脳をスキャンしたところ、薬物中毒ではないきょうだいも前頭葉や、運動・認識・行動に関連する大脳基底核と前頭葉との連結部に、薬物中毒者と同じ脆弱性がいくつか見つかった。「ある個人が興奮系薬物依存症になる傾向は、自制を保てない脳の異常によってもたらされている可能性がある」と、Ersche氏は述べている
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